Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.406 caratteri · 27 schermate
おれは浄心寺の帝釈堂の前で待っているから。……おれの頼むことに、もしお利江さんがウンと言ってくれたらだいぶおもしろい芝居が打てそうだ」
庭先の影
奈良茂の十層倍という木場一の大物持。その万和がすることだからなにもかも大がかり。いちど死にかけた娘をひろった嬉しまぎれで、金に糸目をつけぬ豪勢な祝儀。
格天井を金泥で塗りつぶし、承塵造りの塗ガマチに赤銅七子の釘隠しを打ちつけた、五十畳のぜいたくな大広間の正面に金屏風を引きまわし、阿蘭陀渡りの大毛氈を敷きつめ、左右の大花瓶には天井へとどくばかりの大木のような松をさしこんで、これに一羽ずつ本物の生きた鶴をとまらせる。六畳敷ほどもある大きな島台をすえつけ、その上に猿若町の役者を翁と嫗に扮装させて立たせ、岩木は本物の蓬莱石。亀はこれもまた生きた蓑亀をつかって、甲羅に金泥で『寿』という字が書いてあるという豪奢かげん。
大島台の前に花婿と花嫁がすわり、親類縁者、出入りの懇意の者までひとり残らず上下をつけていながれ、いよいよこれから盃事に移ろうとするとき、ひろびろとした前栽の松の木の下にぼんやりと浮かびあがったひとの姿。