Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.406 caratteri · 27 schermate
白羽二重の寝衣をグッショリと水に濡らし、肩や袖に水藻や菱の葉をつけ、しょんぼりと立っている首のない女の幽霊。
縁の近くにいたひとりが見て、わッ、と頓狂な声をあげたので、一同、なんだろうとそのほうへ振りかえる。男蝶女蝶の子供はひと目見るより、
「あれッ」
と言って、長柄の銚子を投げ出して畳へつっぷしてしまう。
この声に、つつましくうつむいていたお米が、綿帽子のはしを捲くりあげてヒョイとそのほうを眺めると、顔色を変えて、
「ちッ、ふざけるない」
と叫びながら、盃台の朱塗りの盃をとりあげて亡霊のほうへ投げつけておいて、となりに坐っている花婿の金三郎の手をとり、
「おい、梅花、あんなものまで庭先へ立たせるようじゃ、なにもかもネタが割れた証拠。人間は切りあげが肝腎。このへんで尻ッ尾をまいて逃げだそうぜ。マゴマゴしていると手がまわる」
木曽の親類だといって、金三郎の介添になっていた骨太なふたり。いきなり突ったちあがって袴をぬいで畳にたたきつけると、
「おい、親分、お蓮のいう通り、もうこのへんが見切りどき。そんなところへ根を生やしていねえでいさぎよくお立ちなせえ。……どうせ、おれらは海の賊。