Classici giapponesi con furigana
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くびをうしなったとんぼ
首を失った蜻蛉
佐左木 俊郎
Leggi 首を失った蜻蛉 (くびをうしなったとんぼ) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4704 caratteri · 10 schermate
人間にもこうした不安の無い社会が出来ないものだろうかと思った。出来たら、不安なく働けて、そして自分の持って生まれたものを伸ばして行く事が出来るだろう。そういう社会に住んでいれば、怠け者でない限り、狡い者で無い限り、王者を敬うものである限り、終生生活の不安も無く職を失う憂えも無く生きられるのだが、などと彼は考えた。
「それにしても、あの小さな蟻ん坊が、よくこんな大きな蜻蛉を殺して、そして引っ張って行くものだな。」と彼は呟いて、その首の無い蜻蛉の屍を拾い上げて見た。すると蜻蛉の足から翼にかけて、細い細い絹絲のような蜘蛛の巣が、幾本も寄り集まってもちの様に喰い付いている。それから視ると、飛んでいる中に蜘蛛の巣にかかって、ばたばたして下に落ちたのを、蟻の群に攻められたのだと想像されるのである。
彼はまた考えた。
蟻は労働者のように終日こつこつと働いて食うし、蜘蛛は資本家のように、暑い夏の日を、梢から枝へとハンモックを釣って、その上に寝ていて食っている。だが両方とも、自分が生きるために他の動物を殺すことは少しの躊躇もないらしい。そしてそれが生きようとするものの正義だろう。