Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate

Aozora Bunko

「ちょっとの間、お匿い下さいまし。悪ものに追われまして――」

「何だい、お前さんは」

お絃は、思わず怖らしい声になっていた。

「この頃よく家ん前を迂路ついてる女じゃないか。どうしたっていうのさ……」

送り狼

一

菊の間、雁の間、羽目の間――。

千代田の大奥には、硝子を透かして見るような、澄明な秋の陽がにおって、お長廊下の隅すみに、水のような大気が凝って動かない。

どこからともなく、菊がにおっている。

にっぽん晴れ。

金梨地を見るような日光が、御縁、お窓のかたちなりに射しこんで、欄間の彫刻、金具の葵の御紋、襖の引手に垂れ下がるむらさきの房、ゆら、ゆらと陽の斑を躍らす桧面の艶――漆と木目を選びにえらび、数寄を凝らした城中の一部なので……。

ひっそりと、井戸の底のような静寂だ。

と、突如、車輪が砂利を噛むように、お廊下に沿った一部屋に、わらわらわらと人声が湧いて、

「いや、拙者も、何も強ってとは申しませぬが、しかし、伊豆屋伍兵衛と申しまするは――」

「しかし……何じゃナ?」

大目附近藤相模守茂郷は、七十七歳の老人だ。が、耳も眼も人一倍達者なくせに、都合の悪い時は、いつも耳の遠いふりをする。