Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate
外の男は、とうとう最後の煉瓦をはめ込んで、ハタハタと着物の汚れをはたいている。満足そうな薄笑い。そして、穴蔵を出て、鉄の扉をしめて、足どりも軽く階段を昇り、元の客間へ帰ると、残っていた酒をガブガブ呑んで、舌なめずりをしながら、ニタニタと、身震いの出る様な笑い顔。
と、場面はもう一度穴蔵に戻る。完全にとじこめられた、壁の奥の真暗な土の中の大写し。酔っぱらいの忍び男は、もう一生涯そこを出る望みがないのも知らぬ体で、まだゲラゲラ笑い続けている。アア、何という戦慄すべき笑いであったろう。
それがパッと消えると、暫くは時間の経過を示す為の暗黒、そして、再び現われたのは、やっぱり元の壁の中だ。
男はもう笑っていない。すっかり酔が醒めたのだ。恐怖に飛出し相な両眼。何をわめくのか、大きく開いた唇。虚空を掴む断末魔の指先。
彼は凡てを悟ったのだ。女の主人が彼の不義を知っていて、恐ろしい復讐を為しとげたことを気づいたのだ。どんなに叫んでも、もがいても、永久に出ることの出来ない、生きながらの埋葬を悟ったのだ。早くも漆喰が固って、押しても叩いても厚い煉瓦の壁はビクともしない。