Classici giapponesi con furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate
の書斎にも、外遊の間、友人に預けて置いた蔵書を取寄せ、四方の壁を隙間もなく棚にして、内外雑多の書籍を、ビッシリ並べている。いや、棚ばかりではない。例の調子で、デスクの上にも、安楽椅子の肘掛けにも、電気スタンドの台の上にも敷きつめた絨毯の床の上にさえ、ふせたのや、開いたのや、様々の書物を、まるで引越しの様に散らかしているのだ。
それは兎も角、デスクの置時計は、もう十一時を示しているのに、寝ようともせず、彼は一体何を思い耽っているのであろう。外でもない玉村宝石王一家を襲う、魔術師の様な怪賊のことだ。
大森海岸の一軒家で、妙子を取戻してからもう一ヶ月にもなる。その間、決して探偵の手をゆるめた訳ではないのだが、不思議な賊は杳として消息を断ったまま、どの方面にも影さえささぬのだ。
海岸の一軒家を始め、例の魔術の興行された芝居小屋、海岸一帯の汽船など、心当りは漏れなく調べて見たけれど、用意周到な怪賊は、髪の毛一筋の手掛りさえ残して置かなかった。相手には、四十年の長い間、練りに練った用意があるのだ。どんな小さな行動でも、一つ一つ、ちゃんと練り上げたプログラムに従ってやっているのだ。