Classici giapponesi con furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate
玉村氏は勿論、警察でも、賊の余類がどこかに潜伏していはしないかとその点は最も厳重に訊問したが、如何なる拷問も、ないものを生み出すことは出来ぬ。文代さえも、外に余類のないことを宣誓したからには、最早疑う余地はない。賊の一味は完全に滅亡したのだ。よし又、仮令一人や二人残っていた所で、玉村氏に何の恨もない部下のものが、利益にもならぬ他人の復讐事業を続ける筈もないのだ。
玉村家に久し振りで明るい生活が戻って来た。彼等は地底の水責めで、半病人の体だったが、中にも妙子さんは、賊の恐ろしい最期を見て気絶してからというもの、大熱を出して、寝込んでしまった程だが、それは肉体上のこと、精神的には、又もとののうのうした幸福な日が戻って来た。
二ヶ月余り、何のお話もなく過去った。
怪賊のお蔭で一層有名になった、玉村宝石店は、群小同業者を圧して、メキメキと営業成績を上げて行った。家族一同の健康もすっかり恢復した。しかも、時は弥生、早い桜がチラホラ咲き初めようという季節だ。父善太郎氏は勿論、兄妹達も、うって変ったこの世の楽しさに、いつしか、あのいまわしい事件のことも忘れ勝ちになって行った。