Classici giapponesi con furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate
肩から上に何もない、胴体ばかりの人間というものが、こんなにも恐ろしく見えるとは、誰も知らなかった。人間ではない、何かしらえたいの知れぬ血まみれになった大きな物体が、そこにグッタリと横わっていた。つまり賊は福田氏の首を切断して、どこかへ持去ったのだ。
芳年の無残絵そのままの、ゾッと歯ぎしりの出る様な光景だ。芳年の絵は物凄い中にも、どこか美しい所がある。だが、これは生々しい実物なのだ。切口からまだタラタラと流れ出す血のり、何とも云えぬ鮮血の匂。ただもう、ギリギリと歯ぎしりをして、身体中の毛穴という毛穴が開いて、そこから氷の様な風が吹き込む気持である。
だが、賊は一体全体、何の為に被害者の首を持去ったのであろう。物取りの仕業なら勿論、仮令恨みの殺人としても、相手を殺せば用は済む筈。それを、昔々の義士の討入りか何ぞの様に、古風にも首丈けを大切に持って行くとは、今の世に、余りと云えば異様なやり口ではないか。
この殺人の異様さは、そればかりではない。死体の上に一面に撒かれたしおらしい野菊の花、送葬曲の様な物悲しい横笛の音、何から何まで古風で、浪漫的で、しかも云うばかりなく怪奇なのだ。