Classici giapponesi con furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate
、第4水準2-93-20)橋を徒歩で往来する人は、よくよく急ぎの用でもない限り、妙なもので、一度は立止って欄干に凭れて、じっと川面を見下している。夏の外は、涼みの為とは云えぬ。ただ何かしら、あのドロンと淀んだ橋杭の下の薄暗がりに、人を引きつける力が潜んでいるのでもあろうか。
その朝のその瞬間にも、数名の男女が、橋の両側の欄干に凭れて、遠く近くの水面を眺めていたが、上流に面した欄干の二三人が、ふと妙なものを見つけた。
もう十日余りで十二月に入ろうという晩秋の隅田川に、これは何とした酔狂ぞ、一人の男が、水泳ぎをやっているではないか。最初は何か木切れでも流れているのかと見えたのが、だんだん近づくに従って、それが人間の頭であることが分り、更らに間近くなると、若者でもあることか、髭の生えた初老に近い男の顔がハッキリ見えて来た。
「ヤア、元気な爺さんじゃありませんか。この薄ら寒いのに、よくまあ水泳が出来たもんですね」
自転車を持った、カーキズボンの若者が、側の背広服の外交員といった男に話しかけた。
「本当だ。併し寒中水泳には少し早いが、一体何でしょうね。それに、あの年配じゃ、定めて何とか流の先生なんだろうが、別に新聞にも出てませんでしたね」