Classici giapponesi con furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Leggi 魔都 (まと) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 293.999 caratteri · 578 schermate
「驚いた驚いた、くどいようだが幸田節三、臍の緒を切って以来今日ぐらいおどろいたことはない。……なア、あの鶴が唄い出そうたアお前だって思いも掛けやしなかったろう」
「あた棒だ」
「夢でも現でもねエ、確かに歌ったなア」
酒月は捨鉢な調子で、
「ああ、唄った唄った」
幸田は探ぐるように酒月の横顔を瞶めながら、
「もしやと思うが、まさかお前が何か仕掛をしたのじゃあるまいな」
「そりゃ、こっちで聞きてえぐれえだ」
幸田は腕を組み、
「うむ、そうか」
酒月は煙草の煙を天井に吹きつけながら、
「おい、幸田、お前は確かに汐に乗ってる……。ああ、頼もしいもんだ。威勢のいい奴にはかなわねえ。胆っ玉一つで青銅の鶴を鳴かせたってんだからあっぱれなもんだ、酒月は兜を脱いだ」
悦子は長火鉢の横にだらしなく横坐りをしながら、狡そうな目つきで二人の会話を聞いていたが、この時プッと噴き出し、
「まさかねえ、いやだわ、二人とも真面目な顔をして。担ごうたってその手に乗るもんですか」
幸田はうるさそうに舌打ちをし、
「お前らはちょっとあっちへ行ってろ。そんなところへ横っ坐りしていないで酒の仕度でもしろ、何だ」