Classici giapponesi con furigana
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にしんぎょじょう
鰊漁場
島木 健作
Leggi 鰊漁場 (にしんぎょじょう) di 島木 健作 (しまきけんさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.483 caratteri · 49 schermate
しかしそれは契約書にも明記されず、いわば不文律で、その額のごときも漁場主の一存に任せられているのだった。一人当り二十円のこともあり、三十円のこともあった。
漁夫たちはよるとさわるとそのうわさの真偽について語りはじめた。飯を食うときや、寝てからの床のなかや、ついには仕事中にさえ各自勝手な意見をもち出して憶測した。「一体、誰がどっから聞いてきたんだ?」とひとりが怒ったようなこえを出して言った。みんながいううちでいちばんもっともらしいのは、あるとき帳場がものかげで、船頭にその話をして相談をかけているのを一人が聞いたということだった。時化で損害を蒙ったから、というのがその理由だということだった。――さきの六助や木村音吉の場合は、直接には自分自身の問題ではない、他人のことなのですぐ忘れてしまえたが、こんどの問題は一人のこらず全部のものに直接ひびく事がらだった。漁夫たちのなかには帰りの旅費すら持って来ないものがあった。そういうものはみなこの九一による賞与金をアテにしているのだった。それがもらえないとすると家へも帰れなかった。
ついに一人が思い切って、じかに船頭にぶつかって事の真偽を問いただしてみた。