Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate
「あ、おいでなさいましたか」
入ってきたのは、剣山の山番たち、ゾロゾロと七、八人、一人が手に一本の矢を持って、漆が干からびたような鏃の血汐を啓之助に見せていった。
「石牢にいる俵一八郎が死んでおります」
「えっ、一八郎が絶命した?」
「はい、何者かに、射殺されたので」
「それを見せい」
引ったくるように取ってみると、まさしく竹屋三位の矢である。この間三位卿は、間者牢のいわれを聞いてその迷信を嘲笑していた。
そして、冗談のように、今でも隠密を殺せば徳島城にたたりがあるかないか、試しに、世阿弥か一八郎かどちらかのひとりを殺してみたら面白いがといっていた。
また責任のない居候どのが、口に年貢のいらぬ戯れ言をいうな、とその時は、啓之助も笑っていたが、これをみると、竹屋三位卿、ほんとに、剣山の迷信へ、槇葉の鏃をうちこんでしまった。
「とにかく一八郎の死骸を片づけ、仔細を徳島城へ申しおくることにいたそう。いつもながら放恣な三位卿、困ったことをしでかしたものだ」
と眉をひそめながら、啓之助は、また鏃の血の痕をみるにつけて、思わず肌を寒くした。
かれの脳裡にも、自分では意識しない迷信のおびえがあった。