Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate

Aozora Bunko

「エエ、和田峠から、私たちを、つけ廻してくる侍がありましてね」

「へえ、あなた方を? ……」

「お宅へ着いて、ホッとひと安心いたしましたが、まだこのように胸が波を打っておりまする。誰か、お冷水を一杯下さいませんか」

「怖ろしい侍たちでございました。しかもそれが三人づれで、和田峠の下りから、オーイと、私たちを呼びはじめたではございませんか」

四国屋とよばれた商家の内儀は、宿屋の老主人にこう話して、青い眉毛の痕をひそめた。

「ほ、三人づれの侍が?」

「ふりかえってみますと、上から早足に追ってまいります。それは、かなり間がありましたゆえ、わたしどもは怖い一心で、麓へつくとすぐに駕へ乗ってまいりましたが、気味の悪い侍たちは、それから先まで執念ぶかく駈けてきたそうでございます」

「ま、なんという図々しい奴」

「藍草の掛けを取ってまいりましたので、その金に目をつけられたかと存じます」

「そうかも知れませぬ。ですが、もうご安心なさいまし、ここへ来たとて、決して泊めは致しませぬ」

「もしまた、姿でも見つけると、これから先、上方までの道中が、ほんとに思いやられます」

「そういう訳なら、早く、奥の部屋へ隠れておしまいなさいませ。