Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
図に乗って、また舌の動き放題に、怖がらせをしゃべっていたが、お米に返辞がないので、こんどは少し音を柔らげて、
「だが旅先だ――」と手をかえた。
「口でいうお惚気ぐらいは、わっしも寛大に扱いましょうよ。が――だ、ただしだ、そんな方へ体ぐるみ、籠抜けにすっぽ抜けようなんてもくろみは、ムダですからおよしなせえ、エエ、悪いこたあ言いません。世の中に骨折損というくれえ、呆痴な苦労はないからなあ」
「野暮に目柱をお立てでない」
心の底を見すかされて、釘を打たれたかと思う口惜しさに、お米は少しふるえて言った。
「口でそうはいうものの、私の恋しい思い人は……」
「ほーれ、やっぱり眼易があたっていやがる」
「真顔になって、何も心配することはないよ。この大阪にはもとよりいず……ああ今頃は、どこを流して流れているかも分らない……」
と、ツイ口の辷ったついでに、お米は、さげすみぬいているこの男へ、胸に秘めている本当の声を、叩きつけてやりたいような気がして、
「――一節切の」
と、喉までその人の名を洩らしかけたが、邪推ぶかい紐の宅助に、これ以上な気を廻させては、いよいよ自縄自縛の因を招くばかりと思いなおして、ホ、ホ、ホ、ホ、と取ってつけたさびしい笑いにまぎらわせた。