Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate

Aozora Bunko

とにかく当座の宿をとってからの思案と、お米はその晩、中橋すじの茗荷屋という家を選んだ。

どこということもないが、なんとなく、旅籠にしては目立たぬ家で、裏には当り障りのない座敷もありそうなので。

無論、紐の宅助もついて入った。

けれど、宿がきまると今までのように、お米の腰に寄り付いているわけにはゆかない。仲間は仲間として待遇され、若奥様は若奥様と向うで見なして、丁重に差別をつけ、部屋も別々、お膳も別。女中たちの物言いまでが違ってくる。

お米が何ともいわないから、宿でよけいな気転を利かして、お供の膳に酒をつけるということもない。酒がないのは宅助にとって、はなはだ哀れを感ぜしめる。ひとつの刑罰をうけてるのと同じだ。

「宅助や、お前は疲れたろうから、早く寝むがよい」

改まったお米の言葉も、急に素気なく取り澄ましてきた。

宿の手前はてまえとして、何もそうにわかに閾をおかなくたっていいだろう。下郎を召し連れた若奥様かお嬢様か――というふうな権式だけを取って、こっちへ酒もあてがわないのはひどすぎる。と、宅助の虫は穏やかでなく、

「ばかにしてやがる!」と面をふくらせた。