Classici giapponesi con furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
列車がまた進行をはじめると、さっきの車掌がふたたび廻って来た。かの商人は話し好きとみえて車掌の顔をみると直ぐに又話しかけた。
「どうもさっきは驚かされたね、汽車のなかでにょろにょろ這い出されちゃ堪まらないよ。」
「まったく困ります。しかし考えると、少し不思議でもありますよ。」
「なにが不思議で……。」
残暑の強い時節であるのと、帰省の学生らが再び上京するには小一週間ほど早いのとで、列車のなかはさのみ混雑していなかった。現にあの兄妹の起ったあとは空席になっていたので、車掌はそこへ腰をおろした。
「なにが不思議といって……。わたしは一昨年の春からこの鉄道にあしかけ三年勤めていますがね、毎年夏になると、蛇の騒ぎが二、三回、多いときには四、五回もあるのです。」
「ここらには蛇が多いのかね。」と、商人は訊いた。
「特に多いという話も聞かないのですが……。」と、車掌はすこし首をかしげながら言った。「それが又不思議で……。その蛇の騒ぎはいつでも広島とFの駅とのあいだに起るのです。そうして、きょうと同じように、乗客自身はなんにも気がつかないでいると、蛇がいつの間にかその荷物のなかに這入り込んでいるのです。