Classici giapponesi con furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
」
「どこかでお逢いなすったことがあるのですか。」と、奥さんは再び笑いながら訊いた。
「はあ。山陽線の汽車のなかで……。そのときは兄さんらしい人と一緒でした。」
わたしは先年のことを簡単に話した。しかしどんな当り障りがあるかも知れないと思ったので、蛇の一件だけは遠慮してなんにも言わなかった。
「むむ、多代子さんは兄さんと一緒に相違あるまいが……。」と、先生は重い口で私にからかった。「君は誰と一緒に乗っていたかな。多代子さんに賄賂でも使って置かないと、飛んでもないことを素っ破抜かれるぜ。」
奥さんも私も笑い出した。
多代子はFの町の近在の三好という豪農のむすめで、兄の透という青年と一緒に上京して、ある女学校に通っている。先生は三好の家と特別の関係があるわけでもないが、ある知人から頼まれて、多代子だけを預かって監督している。先生の家にも多代子と同年の娘があって、おなじ女学校に通っているので、旁々その世話をしてやることになったのである。兄の透はこの近所の植木屋の座敷を借りて、そこから通学している。これだけのことは奥さんの説明によって会得することが出来た。多代子はことし十九で、容貌は見る通りに美しく、性質も温順で、学業の成績もよいので、まことに世話甲斐があると先生夫婦も楽しんでいるらしい口ぶりであった。