Classici giapponesi con furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
かれは突然に起ち上がってマッチの火をすりはじめた。高谷君も手伝って、ようようのことで蝋燭に火をともした。
土間はもう三寸以上も雨水に浸されていた。ふたりはその水を渡りながら、蝋燭の火を消さないように保護してあるき出した。となりの部屋とのあいだには四尺ばかりの入口があって、簾代りのアンペラが一枚垂れていた。そのアンペラをかかげて隣りの部屋を覗いてみると、果たしてそこには勇造の姿がみえなかった。
「あ、やられたかな。」と、丸山は跳り上がって叫んだ。その途端に蝋燭の火は消えてしまった。
言い知れない恐怖に襲われながら、高谷君はあわててマッチをすった。もう蝋燭をともすのももどかしいので、二人はあらん限りのマッチをすって、そこらじゅうを照らしてみたが、勇造の姿はどうしても見付からなかった。
「まだ遠くは行かない筈だ。」
丸山は衣兜からピストルを取出して表へ駈け出した。高谷君も用意のピストルをとって、つづいて駈け出した。しかしどっちへ行くという方角も立たないので、ふたりは雷雨のなかをうろうろしていると、蒼い稲妻がまた光って、その光りに照らされた麻畑のあいだに勇造のうしろ姿が見えた。