Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わし

鷲

岡本 綺堂

Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

いわば戦場へ出陣の朝も同様であるので、和田の屋敷では赤の飯を炊いて、主人の膳には頭つきの魚が添えてあった。旧暦の十月であるから、この頃の朝は寒い。ゆうべは木枯しが吹きつづけたので、けさの庭には霜が白かった。

又次郎も身支度をして部屋を出ると、女中のお島が忍ぶように近寄って来た。

「若旦那さま、どうぞお気をお付け遊ばして……。」

「むむ。留守をたのむぞ。」

お島はまだ何か言いたいらしかった。又次郎もすこし躊躇していると、それを叱るような父の声が玄関からきこえた。

「又次郎。なにをしている。早く来い。」

「唯今……。」と、又次郎は若い女中を押しのけるようにして玄関へ出てゆくと、父はもう草鞋を穿いていた。

木枯しは暁け方から止んでいたが、針を含んでいるような朝の空気は身にしみて、又次郎は一種の武者ぶるいを感じた。どんな覚悟を持っているか知らないが、弥太郎は始終冷静の態度で、口もとには軽い笑みを含んでいるようにも見えた。それにもまして、久助は勇んでいた。彼はあたかも主人の功名を予覚しているように、大事のお鉄砲を肩にして大股に歩いて行った。お松もお島もおみよも門前まで出て見送った。