Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わし

鷲

岡本 綺堂

Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

さっきも申す通り、ただ騒々しいのは蛙の声でございました。わたくし共は何を見るともなしに、ぶらぶらと歩いて行くうちに、いつか人家のとぎれた川端へ出ました。岸には芒や芦の葉が青く繁っていて、岩にせかれてむせび落ちる流れの音が、ここらはひとしお高くきこえます。ゆう日はもう山のかげに隠れていましたが、川の上はまだ明るいのです。その川のなかの大きい岩の上に、二人の男の影がみえました。それが負傷兵であることは、その白い服装をみてすぐに判りました。ふたりは釣竿を持っているのです。負傷もたいてい全快したので、このごろは外出を許されて、退屈しのぎに山女を釣りに出るという話を、松島さんから聞かされているので、この人たちもやはりそのお仲間であろうと想像しながら、わたくし共も暫く立ちどまって眺めていますと、やがてその一人が振り返って岸の方を見あげました。

「やあ。」

それは松島さんでした。

「釣れますか。」

こちらから声をかけると、松島さんは笑いながら首を振りました。

「釣れません。さかなの泳いでいるのは見えていながら、なかなか餌に食いつきませんよ。水があんまり澄んでいるせいですな。