Classici giapponesi con furigana
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むぎわらぼうし
麦藁帽子
山本 周五郎
Leggi 麦藁帽子 (むぎわらぼうし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6888 caratteri · 14 schermate
「このあいだはつまらぬ話べえお聞かせ申しお客様はさぞ迷惑だったべえのう」
しばらくして老人が云った。
「そんなことはないさ」
「昔語りというやつは、話す当人が面白いほど聴く者には退屈なもんだ、だけれどもわしがのように年寄りになると、行末のたのしみというものがねえで、過去ったことを考えたり人に聞いてもらったりするのが何よりの慰めになるだよ、――お客様あ若いに似合ずよくこんな年寄の思出話を聞いてくらっしゃる、これが村の者とくると」
老人は眉をしかめながら頭を振った。
「村の人たちはいけないかね」
「わしにはあの衆の気持が分らねえだ――まあたとえばあの娘のことを云うとする、ところが村の衆はそんな娘はいなかったぞと云うだ、なるほどわしはずっと昔ひどく病んだことがあるで、あんまり物覚えの良いというほうではねえだ、けれどもわしのことはわしが一番よく知っている、――そうだ、あの話をお客様に聞いてもらうべえ」
老人は居住いを直した。
「あの娘が嫁に行ってから、そうだのう二年ばかりしてのちだっけだ、わしらは岬のはなのところで会ったことがある」
娘は髪を大きな髷に結って高く裾をからげていた。