Classici giapponesi con furigana
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むぎわらぼうし
麦藁帽子
山本 周五郎
Leggi 麦藁帽子 (むぎわらぼうし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6888 caratteri · 14 schermate
そして秋になって柿が実ると、森の中から猿の大群が柿を盗みに来た。それは松屋敷ばかりでなく、村うちはどこでも多少その被害に見舞われたのであるが、伝説はその猿を鎮守八幡の神獣と伝えていたので、堅く殺すことを忌んでいたから誰も積極的にそれを駆除しようとはしなかった。
吾八が二十になった年の秋のことである、ある朝柿畑に猿の群がやって来たので、逐いはらうために吾八は鉄砲を持ってとび出して行った。そしていつものごとく脅しの空砲を放ったのだが、どうした間違いか実弾がこめてあったので、大きな親猿の一疋を射殺してしまった。驚いて駈けつけた吾八は、神獣を殺したと知るや茫然としてそこへ立竦んだ。
それから少しずつ吾八のようすが変っていったのである。日頃から明るく愛想のよかった彼が、だんだん気むずかしくなり、人を嫌いはじめ、どうかすると物蔭へひっそりと座って何か溜息をついていた。
吾八が兵役に出て帰ってくるとまもなく源七の娘の絹子が隣村の網元の家へ嫁にゆくことに定まった。十月に結納の交換があって十一月はじめに輿入れするということであった。その結納の日に、吾八が大船山から馬草を運んで来る途中、足を過って崖から転げ堕ち気を失ったまま屋敷へ担ぎこまれた。