Classici giapponesi con furigana
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よみから
黄泉から
久生 十蘭
Leggi 黄泉から (よみから) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.167 caratteri · 21 schermate
暖炉棚へ移したり、ピアノの上へ飾ってみたりいろいろやったが、形式がないというのはしょうのないもので、どうしてみても落着かない。
写真でもと思って、さがしてみたが一枚もない。八年前、欧羅巴へ発つとき、ひっかかりになっていた芸者の写真といっしょに焼いてしまったような気もする。
手も足も出なくなってぽつねんと椅子にかけて蟋蟀の鳴く声をきいていると、これでもうこの世にひとりの肉親もないのだという孤独なおもいが胸にせまり、じぶんにとっておけいは、かけがえのない大切な人間だったことがつくづくとわかってきた。
いまさらかえらぬことだが、じぶんにもうすこしやさしさがあったら、おけいを巴里へ呼びよせていたろうし、そうすればニューギニアなどで死なせることもなかったわけで、いわばじぶんの冷淡さがおけいを殺したようなものだった。
おけいが肉体のすがたをあらわすとは思わないけれども、来たなら来たでなにかしらおとずれがあるはずで、光太郎の感覚にそれがふれずにすむわけはないのだが、露台からそよそよと風が吹きこむばかりでなにひとつそれらしいけはいは感じられなかった。
「どうして、どうして」