Classici giapponesi con furigana
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よみから
黄泉から
久生 十蘭
Leggi 黄泉から (よみから) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.167 caratteri · 21 schermate
「おや、ルダンさんだ」
上衣はいつもの古ぼけたスモオキングだが、きょうは折目のついた縞のズボンをはき、パラフィン紙で包んだ、大きな花束を抱えている。ジュウル・ロマンの喜劇、「恋に狂う翰林院博士トルアデック氏、花束を抱えて右手から登場」といったぐあいである。
メタクサ伯爵夫人が早稲田大学の仏文科の講師をしていたのは二十年も前だが、ルダンさんはそれよりもまた十年も早いのだから、もう三十年ちかく日本に住んでいるつつましい老雅儒で、光太郎が記憶するかぎりでは、こんなようすはまだいちども見たことがなかった。
ルダンさんの家庭塾には光太郎ばかりではなく、光太郎のただひとりの肉親である従妹のおけいもお世話になっていて、ルダンさんの指導で大学入学資格試験の準備をすすめ、この戦争がなければソルボンヌへ送りこんでもらっていたところだった。
ルダンさんは弟子たちをじぶんの息子のように待遇する。弟子のためなら智慧でも葡萄酒でも惜しげもなくだしつくしてしまう。どうやら資格も出来、いよいよフランスへ出発ときまると、貧乏なルダンさんが、アルムーズとか、シャトオ・イクェムとか、巴里の「マキシム」