Classici giapponesi con furigana
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よみから
黄泉から
久生 十蘭
Leggi 黄泉から (よみから) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.167 caratteri · 21 schermate
急に別な眼になってそのひとを見なおすと、いままで気のつかなかったいろいろなよさがだんだんわかってきた。
月の光を浴びたような無垢な皮膚の感じも、張りのある感覚のよくゆきとどいた深い眼の表情も、健康そうな生の唇の色も、どれもみないつかおけいに話してきかせた光太郎の推賞する科目だった。薄い梔子色の麻のタイユウルの胸の襞のようなものは、よく見ると、大胆な葡萄の模様を浮彫のように裏から打ちだしたもので、葡萄の実とも見えるガーネットの首飾と照応して、日本ではたいていの場合みじめな失敗に終るバロック趣味を成功させていた。
伊草の娘が帰ると、光太郎はそのまま玄関に立って腕を組んでいたが、おけいはこれからルダンさんのところへ行くだろうと思うと、せめて門まででも送って行ってやりたくなった。
「提灯をつけてくれないか」
女中がおどろいたような顔をした。
「さあ、提灯は……懐中電燈でいけませんか」
「いや、提灯のほうがいい」。
光太郎は提灯をさげてぶらぶらルダンさんの家のほうへ歩いて行ったが、道普請の壊えのあるところへくると、われともなく、
「おい、ここは穴ぼこだ。手をひいてやろう」