Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くろとかげ

黒蜥蜴

江戸川 乱歩

Leggi 黒蜥蜴 (くろとかげ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.633 caratteri · 215 schermate

Aozora Bunko

なんだか気分がわるいと言いましてね」

「じゃあ僕も部屋へ引き取りましょう。では」

明智が隣室へ立ち去ると、岩瀬氏はドアに鍵をかけておいて、しばらく手紙を書いていたが、やがていつもの通り引出しのカルモチンを取り出し、卓上の水瓶の水でそれをのんで、寝室へはいってきた。

「早苗、どうだい、気分は」

そう言いながら、彼は隅のベッドの方へ廻って来そうにするので、早苗になりすました夫人は、毛布を顎までかぶって、顔を電燈の蔭にそむけて、うしろ向きのまま、さも不機嫌らしく答えた。

「ええ、いいのよ。もういいのよ。あたしねむいんですから」

「ハハハハハ、お前、なんだかきょうはへんだね。おこっているのかね」

だが、岩瀬氏は、深くも疑わず、不機嫌な娘には逆らわぬようにして、小声で謡などうなりながら、寝間着に着かえると、ベッドについた。

夫人がすりかえておいた、強い睡眠剤の効き目はてきめんであった。彼は枕についたかと思うと、おそいかかる睡魔に、何を考える暇もなく、たちまちグッスリと寝入ってしまった。

それから一時間あまりたった午後十時頃、自室で読書をしていた明智小五郎は、隣室のドアとおぼしきあたりに聞こえる、あわただしいノックの音におどろかされて、廊下に出て見ると、ボーイが一通の電報を手にして、しきりと岩瀬氏を呼び起こしていた。