후리가나로 읽는 일본 고전
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いのちのしょや
いのちの初夜
北条 民雄
北条 民雄의 いのちの初夜(いのちのしょや)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 31,366자 · 63화면
やっぱり今死んだ方が良いのかもしれない。梢には傾き初めた太陽の光線が若葉の上を流れていた。明るい午後であった。
病気の宣告を受けてからもう半年を過ぎるのであるが、その間に、公園を歩いている時でも街路を歩いている時でも、樹木を見ると必ず枝ぶりを気にする習慣がついてしまった。その枝の高さや、太さなどを目算して、この枝は細すぎて自分の体重を支えきれないとか、この枝は高すぎて登るのに大変だなどという風に、時には我を忘れて考えるのだった。木の枝ばかりでなく、薬局の前を通れば幾つも睡眠剤の名前を想い出して、眠っているように安楽往生をしている自分の姿を思い描き、汽車電車を見るとその下で悲惨な死を遂げている自分を思い描くようになっていた。けれどこういう風に日夜死を考え、それがひどくなって行けば行くほど、ますます死にきれなくなって行く自分を発見するばかりだった。今も尾田は林の梢を見上げて枝の具合を眺めたのだったが、すぐ貌をしかめて黙々と歩き出した。いったい俺は死にたいのだろうか、生きたいのだろうか、俺に死ぬ気が本当にあるのだろうか、ないのだろうか、と自ら質してみるのだったが、結局どっちとも判断のつかないまま、ぐんぐん歩を早めていることだけが明瞭に判るのだった。