후리가나로 읽는 일본 고전
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いのちのしょや
いのちの初夜
北条 民雄
北条 民雄의 いのちの初夜(いのちのしょや)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 31,366자 · 63화면
毎日毎日波のように上下しながら、それでも潮が満ちて来るように悪くなって行くんです。ほんとに不可抗力なんですよ」
尾田は黙った。佐柄木も黙った。歔欷きがまた聞こえて来た。
「ああ、もう夜が明けかけましたね」
外を見ながら佐柄木が言った。黝ずんだ林のかなたが、白く明るんでいた。
「ここ二、三日調子が良くて、あの白さが見えますよ。珍しいことなんです」
「一緒に散歩でもしましょうか」
尾田が話題を更えて持ち出すと、
「そうしましょう」
とすぐ佐柄木は立ち上がった。
冷たい外気に触れると、二人は生き復ったように自ずと気持が若やいで来た。並んで歩きながら尾田は、ときどき背後を振り返って病棟を眺めずにはいられなかった。生涯忘れることのできない記憶となるであろう一夜を振り返る思いであった。
「盲目になるのはわかりきっていても、尾田さん、やはり僕は書きますよ。盲目になればなったで、またきっと生きる道はあるはずです。あなたも新しい生活を始めてください。癩者に成りきって、さらに進む道を発見してください。僕は書けなくなるまで努力します」
その言葉には、初めて会った時の不敵な佐柄木に復っていた。