후리가나로 읽는 일본 고전
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いのちのしょや
いのちの初夜
北条 民雄
北条 民雄의 いのちの初夜(いのちのしょや)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 31,366자 · 63화면
あるいは焼き場の煙突かもしれぬと思うと、これから行く先が地獄のように思われて来た。こういう大きな病院のことだから、毎日夥しい死人があるのであろう、それであんな煙突も必要なのに違いないと思うと、にわかに足の力が抜けて行った。だが歩くに連れて展開して行く院内の風景が、また徐々に彼の気持を明るくして行った。菜園と並んで、四角に区切られた苺畑が見え、その横には模型を見るように整然と組み合わされた葡萄棚が、梨の棚と向かい合って見事に立体的な調和を示していた。これも患者たちが作っているのであろうか、今まで濁ったような東京に住んでいた彼は、思わず素晴らしいものだと呟いて、これは意想外に院内は平和なのかもしれぬと思った。
道は垣根に沿って一間くらいの幅があり、垣根の反対側の雑木林の若葉が、暗いまでに被さっていた。彼が院内を覗きのぞきしながら、ちょうど梨畑の横まで来た時、おおかたこの近所の百姓とも思われる若い男が二人、こっちへ向いて歩いて来るのが見え出した。彼らは尾田と同じように院内を覗いては何か話し合っていた。尾田は嫌な処で人に会ってしまったと思いながら、ずり上げてあった帽子を再び深く被ると、下を向いて歩き出した。