후리가나로 읽는 일본 고전
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もののかげ
ものの影
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 ものの影(もののかげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,794자 · 18화면
火はくすぶり続ける。風のある夜など、不用心きわまる。人家に飛び火して大事にならないとも限らない。
そういうこと、田中さんは一向に平気だ。一日おきぐらいに、必ず火をつける。近所の人々は、不安な眼で眺めながらも半ば気が狂ってる人だというので、注意を促がす者もない。
或る時、彦一は酒に酔っていた気紛れに、田中さんが火を燃やしてるのを見て、側へ行って一緒に燃やした。二人とも黙っていたが、時々、顔を見合して頬笑んだ。別れる時、互いに軽く会釈をした。
それから、二人は道で出逢うと、会釈し合うようになった。なんとなく親しみが出来てきたのである。
一本松の近くの雑草の中の田中さんは、ひどく淋しそうに見えた。彦一は立ち止って声をかけた。
「何をなすってるんですか。」
田中さんは無表情な顔で答えた。
「探してるんです。」
彦一も草の中にはいっていった。
「落し物ですか。」
田中さんは棒で地面を突っついた。
「この辺にある筈だが……。」
そしてなおあちこち突っついて、呟いた。
「分らん。」
諦めたように、草の中にしゃがんで、尻を落ちつけてしまった。
彦一もそこに屈みこんだ。雑草は丈高く、薄荷の匂いがして、世間から遮断された感じで、空が青く高い。