후리가나로 읽는 일본 고전
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ノア
ノア
久生 十蘭
久生 十蘭의 ノア을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 77,285자 · 153화면
そうして八日の朝がきた。風も波もないが、依然として気圧計は下りつづけ、二九・二〇を指していた。
「えらいのが来るぞ。この調子ではもっと下るだろう」
船橋で気圧計を見ながら、船長が一等運転士にいった。
西の水平線の壁のように立っていた雲が崩れ、見る見るうちに空いちめんにひろがった。雲の上にまた雲が重なり、いままで輝いていた太陽をドス黒く塗りつぶしにかかった。灰緑色の雲塊を煙のような薄赤いものが貫き、西の水平線は夜のように暗いのに、東の水平線は赤銅色に輝いていた。風は死んだようにおさまり、海面に魚一匹飛びあがらなかった。
「何度になった。気圧計を見てくれ」
「二九・一〇です」
「こんなに下ったのを見るのははじめてだ。そろそろ警報を出そう。輸送指揮官にそういってくれ」
船員が甲板に駆けあがってきて、ヤンマーとボートを二重に縛りつけ、艙口を粗布で蔽ってその上へロープをかけた。輸送指揮官の高桑中尉が船橋へ上ってきた。
「いよいよ来るかね」
船長が振向きもせずにいった。
「すこし大きすぎましたよ。間もなくえらいのが来ます」
一時間ほどすると、海の上に微光のようなものが漂いはじめ、雲の中でしきりに電光が閃いた。