후리가나로 읽는 일본 고전
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いちのくらさわしょうめんのとうはん
一ノ倉沢正面の登攀
小川 登喜男
小川 登喜男의 一ノ倉沢正面の登攀(いちのくらさわしょうめんのとうはん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,722자 · 12화면
丁度そこは上のリンネ(本沢)から水が辷り落ちている所なので、第一回の食事を摂る事にする。上の霧は盛んに東へと巻いているが、少しく雲切がしては薄日がさすので、のんびりと美しい岩の相貌を楽しむ。白く見え隠れして流れる湯檜曾川の森林帯から、今まで登って来た沢や雪渓が足下まで延上っている。左右の懸崖は六十度ほどの角度を以って落込み、自分たちは僅かに前面を打開かれた大きな鉄の箱の底にいるような感さえする。三、四十羽と群なす岩燕は、この巌の大伽藍を守護する小さな精霊たちのように、見なれない自分たちを巡って目前の空中を飛び交う。
やがて充分な休息の後、張切った気持で新たに登攀が始められる。左に滝沢の逆層で切落された壁を見ながら、この一枚岩の岩場を登りつめると本沢のリンネの入口に達する。そこからは急に岩質が変って、角々した岩場になるが、すぐ正面は小さいながらも壁をなし水が滴っていてちょっと厄介に見えたので、左に割込む細いリンネの方へ廻り、それから右上へと登路をとる。暫く登りその上に出て、本沢のリンネを覗くとそれは深く刳れていてそれについて行く事は出来ないので、そのまま上の草の混った胸壁を登り続ける。