후리가나로 읽는 일본 고전
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さんじゅうにこく
三十二刻
山本 周五郎
山本 周五郎의 三十二刻(さんじゅうにこく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,273자 · 31화면
「理屈はどうあろうと、嫁した家から荷物ともども実家へ戻されれば離別に相違あるまい、この方に申分こそあれ、疋田に負うべき義理はないのだ、動くことならんぞ」
「宇女……退っておれ」
兄の金之助がめくばせをしながら云った。宇女はもういちど父の顔を見上げた。そして落着いた声で、
「父上さま、宇女は疋田の嫁でござります」
そう云って静かに立った。
嘉右衛門はぎろっとその後姿を睨んだが、それ以上なにも云おうとはしなかった。金之助は家士を呼ぶために立っていった……このあいだに自分の居間へ入った宇女は、手早く着替を出して包み、髪を撫でつけ、懐剣を帯に差込むと、仏間へ行って静かに端座した。
宇女が疋田家へ嫁したのは去年、寛永十七年の二月であった……疋田は秋田藩佐竹家の老職で二千三百石だし、宇女の家は平徒士で二百石余の小身だったが、疋田の嗣子主馬が宇女をみそめ、たっての望みで縁が結ばれたのである。嘉右衛門は初めから反対だった。身分が違いすぎるのと舅になる疋田図書が権高な一徹人で、この縁組をなかなか承知しなかったという事実を知っていたからである。しかしついには主馬の懇望が通って祝言が挙げられ、宇女は疋田家へ輿入れをした……良人は愛してくれたけれども家格の相違に比例して生活の様式も違うし、そのうえ家士と小者を加えると八十人に余る家族