후리가나로 읽는 일본 고전
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さんじゅうにこく
三十二刻
山本 周五郎
山本 周五郎의 三十二刻(さんじゅうにこく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,273자 · 31화면
四
若い斎田小五郎が庭前へ走ってきた。
「……なんだ小五郎」
「山脇の使番が表御門へ馬を寄せました」
「来おったか」
図書は立って玄関へ出ていった。
小具足を着けた若武者が一騎、表門の外に馬を乗着けていた。彼は図書が玄関へ出てきたとき、馬上に身を起して弓を執直し、羽黒の矢を番えてひょうと射かけた。矢は玄関の左の柱に突立ってぶるぶると震えた……宣戦の矢である。若武者はそれを見届けると、馬首を回して疾駆し去った。
「六郎右衛」
図書は控えている家扶に向って、
「皆の者に盃をとらす。庭へ集れと云え」
そう云って奥へ入った。
戦備を終った者たちは、武装に改めて参集した……図書は精巧の鎧直垂に伝家の腹巻を着け、拝領の太刀を佩いて、床几を書院に据えさせた。家士は上に、小者たちは縁下に、人数が揃うと図書から順に別盃が廻された。さかなには十八歳になる槁田藤三郎が起って平家を朗詠しながら舞った。
そして、いよいよ合戦を待つばかりとなった。
四
死を前にして、しかもまだその期の来ない、僅な時間は怖しいものだ。恐怖と気臆れは、そういうとき人の心に忍込む。図書はそれを知っていた。そして恐らく、小者たちの中から少数の逃亡者が出るであろうと考えていた……しかしその心配はなかった。