후리가나로 읽는 일본 고전
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よるのちょう
夜の蝶
山本 周五郎
山本 周五郎의 夜の蝶(よるのちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,345자 · 21화면
それにはいろいろ事情もあるんだが」
女は腰掛に掛け、そこにいる三人に自分の赤児を見ろとせがんでいた。蔵番の六兵衛が覗きこんで、可愛い丈夫そうな子だと褒めた。竹造と勇吉も褒めた。女は得意そうに眼を輝やかしたが、勇吉が「ちょっと抱かせてくれ」と云って手を出すと、この子は人見知りをするからだめだと云い、さも、その子が泣きだしでもしたかのように、腰掛から立って、躯を左右に揺りながらあやし始めた。
「おうよしよし、泣くんじゃないの」と女は云った。「いまにお父ちゃんに逢わせてあげるからね、泣かないのよ。坊やが泣くと母ちゃんまで泣きたくなるからね、おうよしよし」
「うるせえ、がきを泣かせるな」
飯台の端でどなる声がした。酔いつぶれたまま眠っていた老人である。腕を枕に飯台へのめって、死んだようになっていた老人がどなったのであった。――外にある提灯とはべつに、車屋台の横に仮名で「かいや」と書いた軒行燈が懸けてあり、それが囲いの中を照しているのだが、その行燈にとまっていた大きな蝶が、老人の声に驚きでもしたようにはたはたと飛びたち、囲いの中を狂ったように飛びまわってから、また元の行燈へ戻ってとまった。