후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,962자 · 145화면
そういうわけですから、道庵先生も、この日は極めてまじめな心持で、講演をする用意はしておりました。
で、最初は、講演者の誰もがするように、無学短才のやつがれが、各位の前に於て、講演することの光栄を謝するとかなんとか、世間並みの謙遜の言葉を、体よく並べ出したのは、不思議の出来と思われるばかりです。
「そういう次第でございまして、物の数にも足らぬ道庵を、かく心にかけて歓迎くださること恐縮の至りに存じます。本来はからず招かれて参ったとはいえ、この尾張の国というものは、多年、拙者道庵のあこがれの地でございました。生涯に一度は、名古屋の地、尾張の国の土を踏ませていただきたいとの念願が叶いまして、もう道庵も、この世に思い置くことはございません」
と言って、土地ッ子を涙に咽ばせた手際なんぞも、鮮かなものでした。
知っている人がいれば、この辺で、もうハラハラして、居ても立ってもいられない思いをしたのだろうが、この席では、誰もその脱線の危険を感ずるほどに、道庵を知ったものがありません。
ただ、江戸から来た珍客のエライ先生――という尊敬心が先入となっているのですから、水を打ったような静かさであります。