후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 185,112자 · 362화면
十三
針の先で自分の左の指を刺して、そこから滲み上る血汐を筆に染めて、法華経を序品から写しはじめました。
今宵もまた、行燈の下で針を出して、左の人差指を刺しました。軟らかいふくらみへ針を立てると、ポッチリと茱萸のような血が湧いて来ます。お銀様はそのチクリとした痛みと共に湧いて出る血を、さもいい心持のように眺めてから仕事にかかります。
一カ所で足りない時は、二カ所を刺します。指の先では食い足りないと思った時は、二の腕をまくり上げて針を立てます。どうかすると滲み上った血が筆に余って、ダラダラと腕を伝わって流れることもありますけれど、お銀様は一向それを気にするではありません。こんなことをして、法華経二十八品を写し終る時分には、お銀様の身体の血は一滴も無くなってしまうかも知れません。お銀様はそれを承知なんでしょう。それでも不意に書きかけた筆をさしおいて、梯子段の上り口を見返るのは、どうも人が上って来るような気配がして、トントンと梯子段の途中まで上って来ては、そこで立ち止まっているものがあるように思われてならないからです。
昔、なにがしの聖が経文を写しはじめると、悪魔が苦しがって邪魔に来たということでありますが、お銀様の発心を妨げる悪魔がそこまで来て、経文の功力で上へ昇れないのかも知れません。