후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠7(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 242,044자 · 477화면
人はその不能に溺れずして能に溺れる、とは、よく寺小屋の先生から聞いた言葉であるが、七兵衛もまたつくづくその真理であることを感ずる。
自分の早足で歩いてみると、世間並みの歩き方が馬鹿に見えて仕方がない。これがそもそも、七兵衛の邪道を行く最初の慢心でありました。この早足を利用して、人間ののろまをねらうことに味を占めた七兵衛は、一歩一歩とその興味にハマリ込んで、今はぬきさしのならない玄人になってしまいました。
しかし、なお一方に残された三分の聡明性は、よく、裏と表とを塗りかくして、いまだ誰人にも、そのボロを見せないだけの横着と、細心とを保っているのです。
ですから、誰が見ても、表面はあたり前の百姓で、百姓の合間にその早足を利用して、尋常茶飯の如く、京鎌倉までも出かけてくる余裕が、近隣の百姓たちを羨ませておりました。その実、七兵衛の本心では、自分の能を羨ましく思う百姓たちの不能を、羨ましく思うことばかり多く、あたり前の水呑百姓で、コツコツと畑を打って、女房子供を食わせていって、一生を終ることができれば、これに越した幸福はあるまいと、今も草鞋をつくりながら、つくづくとそれを考えているところであります。