일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

野村 胡堂의 奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,739자 · 23화면

아오조라 문고

ところが、君の名前を忘れてね、白線の帽子を冠った学生が一人居た筈だというと、S君が近江愛之助という名前を思い出してくれたんだ」

三十七八年目の対面は、こんな調子で始まりました。そして牛鍋を突つき乍らあれこれと話して居るうちに、銘々の胸のうちには三十何年前の記憶が油然と湧いて来るのです。

「ブラジルの生活はどうだ、……それからの事を話してくれ給え」

皆んながせがむまでもなく、藤波金三郎は陶然として、長い長い間のブラジルの生活と、三十何年目で日本に帰って来た目的を語るのです。

その話は長くて興味の深いものでした。

ブラジル渡航者の大先達であった藤波金三郎は、コーヒーの栽培が成功して一とかどの産を成した外に、南米の植物研究に一境地を開いて、「あちらでは君、僕は植物学者として知られて居るのだよ」などと言った自慢話も出るのでした。

申す迄もなく、ブラジルで同じ渡航仲間の日本婦人と結婚して二人の男の子まで産れ、六十歳になった藤波金三郎は、恵まれ過ぎるほど恵まれた生活をして居りましたが、

「僕の胸の底に、どうしても癒すことの出来ない痛みがあるのだよ、――正直に打あけると、それは三十何年か前その人あるが故に、ブラジル行を決心した、初恋の女――汽車で一緒に上京した途中、小牛田で不思議な一夜を明かした、お染という恋人のことなん