후리가나로 읽는 일본 고전
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
夢野 久作의 山羊髯編輯長(やぎひげへんしゅうちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 51,441자 · 102화면
ただ、それだけの現場(げんじょう)である。何も無くなった品物も無く、荒らされている形跡も無い。近所の者の話によるとこの爺さんは綽名(あだな)を仏(ほとけ)惣兵衛と呼ばれていた位の好人物だったそうだ。古くからこの土地で小さな下駄屋を遣っていたが、儲(もう)けた金は病人の女房の養生費にアラカタ注(つ)ぎ込んでいたものだという。だから今度の災難もその女房が、養生に行った留守中、タッタ一人で自炊していたために起った事件に違いないが、売溜(うりだめ)の十一円なにがしの金は、三百四十円ばかりの貯金の通帳と一所(いっしょ)に、手提金庫の中にチャンと在ったのだから、それを目的の仕事とは思えない。しかし又一方にこの惣兵衛さんはモウ六十いくつで、仏と云われる位の好人物だったし、女房のおチカ婆さんというのが又、近所でも評判の堅造(かたぞう)だったから、色恋の沙汰も、人に怨まれるような事も在りそうに無い……というのがこの事件の核心的な不思議の一つであった。
そのうちに伊勢の山田の灸点(きゅうてん)の先生の処へ行って養生をしていた、女房のお近婆さんが驚き慌てて帰って来たが、大学で解剖後、火葬に附せられた亭主の骨壺を抱いて、涙に暮れるばかりであった。