후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
島崎 藤村의 嵐・ある女の生涯(あるおんなのしょうがい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 47,846자 · 96화면
いたずら盛りの孫が障子を破ろうと、お三輪はそれを叱ったこともない。自分で糊と紙を持って行って、何度でも子供の破った障子を繕ってやった。それほど孫にまで逆らうまいとして来た。母の思惑もさることながら、お三輪は自分で台所に出て皆のために働くことを何よりの楽みに思い、夜も遅くまで皆のために着物を縫い、時には娵や子守娘まで自分の側に坐らせて、昔をしのぶ端唄の一つも歌って聞かせながら、田舎住居のつれづれを慰めようとしたこともある。
「お三輪、お前はそれでいい。死ぬまで皆のために働いて、自分に出来るだけのことをするがいい」
そういう母の声を耳の底に聞きつけるまでは、お三輪は安心しなかった。
「おばあちゃん、東京へ行くの」
この孫の問に驚かされて、お三輪は我に返った。娵と二人ぎりになると、出ない日のない東京の方の噂が、いつの間にか子供の耳に入っているのにも、びっくりした。
「ああ、坊やはおとなしくお留守居しているんだよ」
と事もなげに言って見せた。
焼けない前の小竹の奥座敷を思出しながら今の部屋を見ると、江戸好みの涼しそうな団扇一本お三輪の眼には見当らなかった。あれも焼いてしまった、これも焼いてしまったと、惜しい着物のことなぞがつぎつぎにお三輪の胸に浮んで来る。