후리가나로 읽는 일본 고전
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
堀 辰雄의 幼年時代・晩夏(ようねんじだい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,965자 · 169화면
そして私はそれらの思い出がそれ自身の力でひとりでに浮び上がってくるがままに任せておくきりなのだ。
そんな私のことだから、その頃のことは他には殆ど何一つ自分の記憶には残っていない。そういう中で、唯一つ、前述の記憶だけが妙にはっきりと私に残っているというのは、その火事の話が事実でないとすれば、恐らく昼間のさまざまな経験が寄り集って一つの夢になるように、自分のまだ意識下の二つの強烈な印象が、その他の無数の小さな印象を打ち消しながら、そうやって一つの記憶の中に微妙に融け合ってしまっているのかも知れない。(註一)
私の意識上の人生は、突然私の父があらわれて、そんな佗住いをしていた母や私を迎えることになった、曳舟通りに近い、或る狭い路地の奥の、新しい家のなかでようやく始っている。そこに私達は五年ばかり住まっていたけれど、その家のことも、ほんの切れ切れにしか、いまの私には思い出せない。が、その頃の事は、その家ばかりではなく、私に思い出されるすべてのものはいずれも切れ切れなものとして、そしてそのために反ってその局所局所は一層鮮かに、それらを取りかこんだ曖昧糢糊とした背景から浮み上がって来るのである。