후리가나로 읽는 일본 고전
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
堀 辰雄의 幼年時代・晩夏(ようねんじだい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,965자 · 169화면
お照とこんな風に差し向いで話をしているところを母に見つかって、いかにも気まりが悪そうである。
「こんちは。……そこの髪結さんまで来たんでちょっと寄ってみたの。……なんだかすこし根がつまりすぎて……」そんなことをお照はしゃあしゃあと答えながら、それが気になるように結い立ての銀杏がえしへ手をやっている。
弘の母はそっちをちらっと見て、
「よく結えたよ」と愛想よく言って、それから弘に向って「弘ちゃん、ちょっと御供所までいって、お父さんを呼んできておくれでないか。お花の先生がちょっとお呼びですからって。……いったらいったきりで、ちょっとやそっとでは帰って来ないんだからね。……ほんとに困っちまう。」
それを聞くと、弘はいそいで立ち上って、まるで逃げ出しでもするようにして、下駄を突っかけたまま、おもてへ飛び出していった。
それから、弘の母は二言三言お照と立ち話をしていたが、いそがしそうに再び自分の家へ帰って行ってしまった。あとには、お照が一人だけ長火鉢の傍に取り残された。
お照は、それから暫くぼんやりと、いましがた弘の勉強していた茶ぶ台の方を眺めていた。茶ぶ台の上には、まだ何やらわけのわからぬ図形や記号の一ぱい描きちらされている帳面が、開けたまんまになっている。