후리가나로 읽는 일본 고전
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
山本 周五郎의 思い違い物語(おもいちがいものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,840자 · 88화면
各役所の帳簿係はついにこう音をあげた。
「もう御免だ、おれは任せた」或る帳簿係はそう白状した、「――これでは気がおかしくなってしまう、おれは関係しない、たかが古帳簿、出したければ出すがいいし返したければ返すがいい、おれはあの男にすっかり任せることにした」
「なるほど、ふむ、なるほど」他の帳簿係もこう頷き合った、「――たかが古帳簿」
泰三の活躍はこうして漸次自由になっていった。
だが、これはいったいいかなるわけであるか、なんのために彼はそれほど熱狂するのであるか、そこは誰にも理解がつかなかった。例の不当利得者の一派も、かの野村吉太郎ら正義派の連中も、それぞれの立場から、泰三のする事をば満足して眺めていた。前者はうまく彼を閑職に追込んだと思い、後者は彼がいよいよ不正摘発にとりかかったものと信じた。
年が明けて一月、二月、三月には藩主が帰国した。
長門守知宣の帰国を誰よりも熱心に待っていたのは、城代の満信文左衛門と山治右衛門の二人であろう。帰国祝いの式が済むと、二人は、早速のところ人払いの謁見を願い出た。……知宣はそのとき三十八歳で、藩譜によると列代のうち第一の美男だったという、酒も強いし、もう一つの方面でもかなりな精力家らしく、伝記には華やかな逸話が幾例かある。