후리가나로 읽는 일본 고전
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
山本 周五郎의 思い違い物語(おもいちがいものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,840자 · 88화면
「これは一世一代のみものになる、面白し面白し」
このあいだに泰三の準備が出来た。彼は御前の中央に坐り、左右に帳簿の山を置き、なにか書いた大きな紙、――生紙を六尺四方に貼りつないだらしい、――を披いて、まず藩主に低頭、それから老職席に会釈をして、殿の許可を得てこれより藩財政の忠誠なる業績を披露すると口を切った。
「これは殿が御日常の経費について、ずいぶん御不自由であられるらしきこと、その証拠として常に、余は貧乏だ貧乏だと嘆いておられること」(ここで殿にはえへんと咳をなされた)「そのためときに御領主としてふさわしからぬ御行跡のあること、以上の理由よりして財政の実情と、重職ならびにその担任者の苦衷、これらを記録にしたがって披露するしだいであります」
「殿は現在のところ、現銀にして約二十一万七千六百三十五両余を、お持ちになっておる勘定でございます」泰三はこう続けた、「――これは七年前までの数字でありまして、その後さらに増加しておることは申すまでもございません、さてその内容でありますが」
「典木は発狂でも致したか」
満信城代が仰天してこう叫んだ。
「さような巨額な金はいま当藩を逆さに振っても出はせぬ、仮にも御前で根もないことを申上げ」