후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
あるおんなのしゅき
或る女の手記
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 或る女の手記(あるおんなのしゅき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 18,447자 · 37화면
……長い時間がたったような気がした。気が遠くなるような心地がした。そしてふと眼を開くと同時に、私は我に返った。もう彼の姿は感じられなかった。ふり返ると、誰の姿もない野の上に、一面に月の光りが落ちていた。
幻だったのだ! けれども、ああそれがいつまでも単なる幻であってくれたなら!
私は八月の末に、また東京の兄の家に身を置いて、学校に通うこととなった。そして、幻は単なる幻のままでなくなってきたのである。
九月の新学期に初めて学校へ通った日、私は往きも帰りもお寺の前を通ったが、彼の姿は何処にも見えなかった。けれども二三日目から、殆んど毎朝のように、御門の中に立っている彼を見出すようになった。ただ私がいくらか束の間の安堵をしたことには、彼の白い着物が新らしく綺麗になっていたし、顔色なんかも休暇前よりはずっとよく、髪も短く刈り込まれているし、髯はいつもちゃんと剃られていた。頬はやはりこけていたが、すべすべとした艶が見えていた。箒をいつも手にしながら、私の姿を見ると、楓の幹に軽く身を寄せたりして、わざとらしい嬌態をすることがあった。顔では笑わなかったが、眼付で微笑んでいた。