후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんなのしゅき
或る女の手記
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 或る女の手記(あるおんなのしゅき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 18,447자 · 37화면
月のいい或る晩、私は一人で田舎道を散歩した。東京に住むようになってから、故郷の田舎の月夜に対して、私は一層深い愛着を覚えてきた。それには、幼い頃の思い出と月夜の平原に対する憧れとが、入り交っているのであった。その晩は殊に月が綺麗であった。銀色の光りが、遠くまで野の上に煙っていた。真白い道が稲田の間に浮き出して、稲の葉に置いてる露の香りが空気に籠り、蛙の声が淋しく響いていた。私は暫く田園の中を歩いた後、口の中で唱歌を歌いながら、家の方へ帰りかけた。すると突然に、全く突然に、私はぞっと水を浴びたような戦慄を感じた。私の後ろに、あの白い着物のお坊さんの姿が立ってるのである。私が一足歩くと彼も一足ついてくる、私が立ち止ると、彼も立ち止る。私はそれを眼に見たのではないが、はっきり心に感じたのだった。恐しさに縮み震えながら、そっと気を配ると、あたりは皎々たる月明の夜で、蛙の声が猶更野の寂寞さを深めていた。私はふり返ることも、立ち止ることも、また歩くことも出来なかった。彼の姿は私の数歩後ろに、じっと佇んでいた。私は息をつめて眼を閉じて、運命を天に任せるより外に仕方がなかった。