후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんな
或る女
有島 武郎
有島 武郎의 或る女(あるおんな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 205,655자 · 406화면
といって倉地は入り口のほうにしざって行った。おりから貞世はすやすやと昏睡に陥っていたので、葉子はそっと自分の袖を捕えている貞世の手をほどいて、倉地のあとから病室を出た。病室を出るとすぐ葉子はもう貞世を看護している葉子ではなかった。
葉子はすぐに倉地に引き添って肩をならべながら廊下を応接室のほうに伝って行った。
「お前はずいぶんと疲れとるよ。用心せんといかんぜ」
「大丈夫……こっちは大丈夫です。それにしてもあなたは……お忙しかったんでしょうね」
たとえば自分の言葉は稜針で、それを倉地の心臓に揉み込むというような鋭い語気になってそういった。
「全く忙しかった。あれからわしはお前の家には一度もよう行かずにいるんだ」
そういった倉地の返事にはいかにもわだかまりがなかった。葉子の鋭い言葉にも少しも引けめを感じているふうは見えなかった。葉子でさえが危うくそれを信じようとするほどだった。しかしその瞬間に葉子は燕返しに自分に帰った。何をいいかげんな……それは白々しさが少し過ぎている。この十日の間に、倉地にとってはこの上もない機会の与えられた十日の間に、杉森の中のさびしい家にその足跡の印されなかったわけがあるものか。