후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんな
或る女
有島 武郎
有島 武郎의 或る女(あるおんな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 205,655자 · 406화면
倉地から受け取った金の残りと、調度類を売り払ってもらってできたまとまった金とが何もかにもこれから姉妹三人を養って行くただ一つの資本だった。その金が使い尽くされた後には今のところ、何をどうするという目途は露ほどもなかった。葉子はふだんの葉子に似合わずそれが気になり出してしかたがなかった。特等室なぞにはいり込んだ事が後悔されるばかりだった。といって今になって等級の下がった病室に移してもらうなどとは葉子としては思いもよらなかった。
葉子はぜいたくな寝台の上に横になって、羽根枕に深々と頭を沈めて、氷嚢を額にあてがいながら、かんかんと赤土にさしている真夏の日の光を、広々と取った窓を通してながめやった。そうして物心ついてからの自分の過去を針で揉み込むような頭の中でずっと見渡すように考えたどってみた。そんな過去が自分のものなのか、そう疑って見ねばならぬほどにそれははるかにもかけ隔たった事だった。父母――ことに父のなめるような寵愛の下に何一つ苦労を知らずに清い美しい童女としてすらすらと育ったあの時分がやはり自分の過去なのだろうか。木部との恋に酔いふけって、国分寺の櫟の林の中で、その胸に自分の頭を託して、木部のいう一語一語を美酒のように飲みほしたあの少女はやはり自分なのだろうか。