일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 186,659자 · 372화면

아오조라 문고

雨の中に、石や土嚢を積み、また、森の大木を伐り仆して、乱雑なる防塞を組み、部将から足軽の下まで人間力の限界まで、働きあった。

そのあいだ、たれひとり、不平や怯みを洩らさなかった。おそらくは、かれらとても、この一城――いやすでに三の丸を失った半城の孤塁が、余命、いくらもないことは、無言のうちに知っていたろうが、何としたことか、脱走者もないのであった。

これは、守将の奥村助右衛門の日ごろの仁愛と今日の明確な決意が、烈しい叱咤や激励を伴わなくても、よく各部の組頭たちから士卒にまで、滲みわたっているためともいえようが、もっと大きな力が、べつにかれらの士気を鼓舞していたのである。

それは、助右衛門の妻の力だった。かの女も、足軽小者たちと一緒に、初めの夜から帯紐解いて休んだことは片刻もない。

かの女は、良人の気もちをよく酌んで、領民の老幼をよく世話したが、なお、あちこちの防禦陣地から、負傷者を本丸へ運ばせては、自身、傷口を洗ってやったり、布をもって巻いてやったり、看護に、身のつかれも、忘れていた。

かの女の手が、手負いの傷口を繃帯してやるときには、その眼に、涙があった。